代表的なビフィズス菌5種類の特徴と、ビフィズス菌と乳酸菌の違い
善玉菌の代表として耳にすることの多い「ビフィズス菌」と「乳酸菌」ですが、同じ善玉菌でもそれぞれ性質や特徴は異なっています。
ビフィズス菌の特徴
まずビフィズス菌の形状はY字やV字状をしており、酸素があると生育できない菌です。こういった性質を「偏性嫌気性」といい、主に人間や動物の腸内に存在しています。
また、大腸菌などの悪玉菌の繁殖を抑え、排泄の促進や下痢、便秘の予防など、腸内環境を整える働きがあります。そのため、ビフィズス菌はヒトの腸内に適した菌と言えるでしょう。
さらにビフィズス菌は乳酸に加えて酢酸を作り出し、この酢酸が、おなかの中で重要な機能を発揮します。
まとめると、人間や動物の腸内にいて、乳酸と酢酸を作り出すのがビフィズス菌です。
乳酸菌の特徴
一方、乳酸菌は牛乳から見つかったのが名前の由来で、人間の腸内のほか、自然界に幅広く存在する細菌で糖から「乳酸」を作り出します。
形は球状と桿状のものがあり、ビフィズス菌とは逆に、酸素があっても生育できる「通性嫌気性」という性質を持っていて、ヨーグルトやチーズの製造にも使われています。
ビフィズス菌の生息場所は主としてヒトや動物の腸管ですが、乳酸菌はヒトや動物の腸管以外に漬物など一部の発酵食品や牛乳・乳製品、自然界に棲息しています。
つまり、ビフィズス菌が人間や動物の腸内で乳酸や酢酸を作り出すのに対し、乳酸菌は自然界に広くいて、乳酸を作り出す、という部分が最も大きな違いです。
ビフィズス菌の種類
さて、ここからはビフィズス菌の種類についてお話しします。
冒頭でお話ししたビフィズス菌ですが、実は1種類だけではありません。私たち人間の腸内でも多くて4~10種類程度の菌が存在しているとされており、他の動物なども含めれば更に30種類程度の種類がこの世界で存在している事が確認されています。
今回は、その中からビフィダム種、ブレーベ種、ロンガム種、インファンティス種、ラクティス種について、それぞれの特徴を見ていきます。
ビフィダム種の特徴
ビフィズス菌に属するビフィダム種は、G9-1という菌を含み、血糖値の上昇を抑えたり、コレステロール値を下げる働きがあります。また、花粉症を予防することでもよく知られています。
さらに、菌の生存性を高めるために、ヤクルトが独自に開発したBF-1という菌株を持ち、胃の粘膜やストレスから胃を守るという特徴を持っています。
ヤクルト株は、生きて腸に届く安定性の高いビフィズス菌で、医療にも用いられています。
ブレーベ種の特徴
ブレーベ種は、ヤクルトが独自に保有するビフィズス菌で、皮膚の乾燥を抑え、小じわなどが抑えられるなど、美肌に導く作用が認められています。
空気が乾燥する時期でも、変わりなく肌に水分を蓄えられるということです。
お通じを良くする、潰瘍性大腸炎の症状を抑える、肌荒れを改善するといった特徴を持っています。
また、胃酸や胆汁に耐えて、生きたまま腸まで届くのが特徴です。
ロンガム種の特徴
ロンガム種はSBT2928、JBL05、BB536といった菌を含み、中でもJBL05は森下仁丹が保有する、人の腸管から分離されたビフィズス菌で、菌体外多糖を産出する菌株です。
菌体外多糖というのは、菌が自分の体の内側に糖を作り出すのではなく、体の外側に糖を作り出すことを意味し、このJBL05がアレルギー抑制効果があり、アトピー性皮膚炎を改善するといわれています。
また、同時に免疫力を強くするといった特徴も持っています。
インファンティス種の特徴
インファンティス種は乳児の糞便に検出されるビフィズス菌で、乳幼児の腸内環境の形成に影響するという特徴を持っています。
乳児期のビフィズス菌の早期定着とそれに伴う腸内環境の変化は、生涯にわたって宿主の健康に関わることが報告されていて、乳児期に定着するビフィズス菌の由来については母親の腸内細菌や母乳が起源の 1 つとして挙げられています。
ラクティス種の特徴
ラクティス種のBb-12というビフィズス菌は、一般的なビフィズス菌よりも酸に耐える力がはるかに強く、生きて腸まで届く可能性が高いといわれています。
胃や消化管は、胃酸によって酸性に保たれており、胃の中の酸性度は内容物によって変化しますが、胃酸そのものはpH1~2という強い酸性を示します。
そして普通ビフィズス菌は、pH4.0より低い酸性下では生存することができないため、生きて腸に届くことが難しいのです。
それに対しBb-12は、pH2.0という強い酸性下でも生存できるため、生きたまま腸に到達できるわけです。